SUMMIT REPORT
2021年4月21日(水)にティアフォー初の公式オンラインサミット「Tier IV SUMMIT 2021」が開催された。
ティアフォーの田中大輔取締役COOが登場した「Tier IV's Path to Market」というセッションでは、自動運転分野でティアフォーがどのように「Go-To-Market」を目指すのかが解説された。この記事ではこのセッションの中身を要約してお届けする。
(※この記事はモビリティ業界テック系ニュースメディア「自動運転ラボ」編集部提供です)
ティアフォーがミッションとして掲げている「自動運転の民主化」について、田中COOは「(Autowareという)オープンソースの自動運転OSを活用し、全ての人に自動運転のメリットを享受していただきたいと思っている」と説明した。
そして、ミッション達成により「社会課題の先進国」と呼ばれる日本の社会課題をまず解決したいと述べ、「共有財産であるオープンソースの自動運転OSを使いながら、皆さんとともに解決していきたい」とセッションの視聴者に語りかけた。
このほか、ティアフォーは日本国内80カ所で様々な場面を想定した実証実験をしていることが紹介されたほか、中国では自動運転のレースに参加していることや、アメリカでは「CARMA」という高速道路の交通システムと連携していくことなど、グローバルに活動していることについても説明した。
また、ティアフォーが中立な立場でAutowareを開発することを明確に宣言するために、2018年に「The Autoware Foundation」を設立したことも説明した。現在は外国企業を含めた約50社や米運輸省も参加しているという。
田中COOが自動運転の「Go-To-Market」に向けて紹介した4要素は、「自動運転を実現し得る技術」、「事業性の確保」、「自動運転に親和する法規制」と「社会の『受け入れ』」だ。
自動運転市場は今後数十兆円の規模になると予測されている。ただし、自動運転自体の安全保障のほか、道路や信号などのインフラ、法律や保険、運転免許など、さまざまな社会的枠組みとの連携も課題となっているという。
さらに自動運転の導入には数千万円のコストがかかるケースが大半となり、田中COOは「民間の事業者が採算性を実現できるまでは、国や産業界からの強い支援が必要」といった趣旨を述べた。
田中COOは今後の自動運転技術の車両への実装に関し、3次元センサーやカメラなどの従来の車両に必要なかったハードウェア、リアルタイムで膨大な計算が可能な高性能なコンピューターなどを車両に搭載しなければならないことを説明した。その上で、安全・安心に関する取り組みも必要となることに触れ、「1社のみでは自動運転は実現できない」と述べた。
その後、ティアフォーが自動車会社とソフトウェアを共同開発していることや、自動運転の安全性を高めるインシュアテックソリューション「Level Ⅳ Discovery」の取り組みを損害保険会社や高精度三次元地図制作会社と共同で進めていることも紹介。ティアフォーの受託開発や技術コンサルティングの取り組みに触れつつ、「どういう要望が来てもお応えできる」とアピールした。
最後に田中COOは「自動運転事業というゲームに勝ち抜くためのコントロールポイント」を3つ紹介し、ティアフォーの強みにしたいと語った。
1つ目は、さまざまな人材と協力して開発していくための「リファレンスデザイン」。2つ目は組み立てや車のチューニング作業を含めた「システムインテグレーション」、3つ目は「サポート」だという(※この3つについては以下のスライドを参考にしてほしい)。
また、1秒で数メートルも移動する自動運転車の監視体制についても議論の余地が大いにあることを指摘した。
1人が10台もの車から送られてくる複数の映像を監視することは人為的ミスを招く恐れがあり、そもそもこのような監視体制を望むか疑問を投げかけ、田中COOは「ティアフォーはこのような深いところまで、技術と実装両輪で考えている」と述べ、セッションを終えた。
「自動運転の民主化」を掲げるティアフォーは、単に車両を自動運転で走行させるだけではなく、人々に受け入れられる形で社会実装をどう実現していくか、という視点も持ち合わせ、事業に取り組んでいることがひしひしと伝わってくるセッションだった。
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