SUMMIT REPORT
2021年4月21日(水)に開催されたティアフォー初の公式オンラインサミット「Tier IV SUMMIT 2021」。そのサミットの最初のセッションとなったのが「Tier IV’s Vision to Win」だ。
このセッションでは、ティアフォーの創業者兼CTO(最高技術責任者)である加藤真平氏が、自動運転の市場競争をティアフォーがどう勝ち抜くのかなどについて語った。この記事ではこのセッションの中身を要約してお届けする。
(※この記事はモビリティ業界テック系ニュースメディア「自動運転ラボ」編集部提供です)
自動運転技術の実用化に貢献するため、オープンソースの自動運転OS「Autoware」の開発に取り組んできたのがティアフォーだ。
その創業者の加藤真平氏はセッションの冒頭、同社の戦略について「限定エリアを走るカート型、人を手助けする小さなロボットも同じ技術・プラットフォームで提供していく戦略」と語り、「開発から実用まで一体のプラットフォームの提供を考えている」と述べた。
セッションでは、Autowareをオープンソースで公開した理由、そしてAutowareを使って世界で勝つための戦略についても語っている。
「自分たちでテクノロジーを抱えるわけでなく全てオープンにしていく。誰でもダウンロードができ、改造ができて自分の開発、製品、サービスに利用できる。皆で創って皆で使う。これが世界で勝つために思い描く戦略である」
さらに「1社で開発するスタイルではなく、足りない技術はその技術を有するプレイヤーと組んで開発を進める。これこそがティアフォーが世界で勝てる手段、アプローチ、コンセプトだと思う」とも語っている。
こうしたコンセプトを具現化したプロダクトがティアフォーの「Pilot.Auto」で、加藤氏はこのPilot.AutoをAutowareの「リファレンスプラットフォーム」だと説明し、次のように述べている。
「自動運転システムの開発の際に『リファレンス』となるものをティアフォーが提供する。自動運転システムを開発しようとすると、ソフトウェアだけでは開発できない。そこにコンピューターユニット、センサーユニット、地図のようなデータ、さまざまなものが統合されて自動運転システムとなる。その組み合わせ方をティアフォーがリファレンスとしてお客様に提供する。Autowareを実用化する1つのやり方だと思っている」
ティアフォーは「アライアンス」という考え方に重きを置いていることでも知られる。Autowareをオープンソースにしている理由も、この考え方に乗っ取ったものだ。
加藤氏は「オープンソースにしている1つの理由は、自分たちだけではできないことをオープンソースという共通言語を使い、世界中からパートナーを呼び寄せて、1つの大きな経済圏、世界連合を形成したいからだ」と語った。
Autowareの開発と世界中のパートナーとのアライアンスの形成に取り組んできたティアフォー。すでに世界中の多くの企業がAutowareを採用しているが、加藤氏は今後よりAutowareを普及させていくための戦略も描いている。
その戦略について語った一節を、少し長いがそのまま引用しよう。
「台湾のFoxconnという製造をビジネスにする会社がイニシアチブを取り、MIHという団体が出来上がっている。現時点で1,000社近い企業(2021年3月時点)が集まって、EV(電気自動車)をいかに早く安く量産していくかのスタンダードを築こうとしている。このMIHにAutowareを組み込んでいきたい。我々がソフトウェアをオープン化しているメンバーだとすると、MIHはハードウェアをオープン化するメンバー。2つが組み合わさると、ハードもソフトもオープン化される。そういう世界が広がると、誰でも自動運転を組み込むことができて、使うことができ、売ってもいい。そんなオープンな世界を切り開いていきたい」
今回の加藤氏のセッションは、ティアフォーの戦略の緻密さを如実に感じさせるものだった。
オープンソースという戦略で、Autowareを世界で普及しようとしているティアフォー。そのコンセプトは机上の空論ではなくすでに動き出しており、Autowareの活用が世界中で広がる中、MIHとの連携によってさらにその普及スピードが加速することになりそうだ。
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